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大盛貝塚
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人生色々ありますが、魚が釣れるとそれなりに幸せな人。

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Posted by naturum at

2017年02月14日

釣りに行きたくても行けないサラリーマンの心情をこれほど的確に表現した文章は他にないんだぜ

夢枕獏という作家の名前を聞いて、はじめに思い浮かべる作品は何でしょう。
おそらく陰陽師、もしくは最近映画化された神々の山嶺だろうか。以前からのファンならキマイラなんてシリーズもありますね。

有名な作家さんなのだが、実は釣り好きでも知られていて、いくつか釣り関係の寄稿もされている。
そんな売れっ子作家が、ある意味ガチで趣味について書いた小説がこちら、大江戸釣客伝。


https://www.amazon.co.jp/大江戸釣客伝-上-夢枕-獏/dp/4062169991

あまり言うとネタバレになってしまうので控えるけれど、これだけ一般アングラーの心情を著した作品もないと思う。
少しだけ内容に触れるならば、現存する最古の釣りの本、何羨録を著した津軽采女の半生を描く作品で、釣りにのめり込みながらも世は生類憐れみの令の浮き世、おまけに忠臣蔵で悪役として有名な吉良上野助の娘と結婚し...と、なかなかにややこしい人生を送った実在の人物を主人公とした物語だ。

津軽采女という人物は、金銭的には恵まれた大名でありながら、かといって自ずからやりたいことをやれる立場ではなかった、幕府の中間管理職的な、悩めるサラリーマンだったようだ。
彼にとっての釣りとは、夢中になれる趣味であり現実から逃避できる一種のユートピアでもあった。
しかしながら人生を釣りには掛けられない立場の幕府の役職でもあって、この悶々に運命の悪戯が重なって、とても人間的な苦悩も抱える。
ほら、何となく近しい誰かを見ている気分になりませんか?

作中に、松尾芭蕉の弟子達も登場する。彼らもそれぞれ現実の悩みを抱え、すべからく縛られる。

夢は枯野を駆け巡る。

その一線を越えていく事ができる人種と、それができない、一線を越えられない普通のまともなマジョリティの対比が、しんみりと心を打つ名作だと思う。

日々の暮らしの中で、大切なものを守るために日々奮闘されているアングラーの皆さま方。
釣りに行けない毎日であれば、少しだけ、この小説に浸ってみては如何?  


Posted by 大盛貝塚 at 13:50Comments(0)書籍